- ファルデ
- ペコちゃんとファルデ
- シラーズっ子に大人気のアイスクリームショップ
「ファルデ」
冷たい麺の新食感スイーツ「スープに入った……白い麺?」
これが「ファルデ」に初めて出会ったときの印象でした。どんな味かも想像できないままほおばってみると、冷たくて、甘い! 実はこのスイーツ、紀元前400年頃には存在していたと言われるほど長い歴史を持つ、イラン伝統のアイスクリームなのです。
ファルデは水、砂糖、ローズウォーターを合わせたシロップに、でんぷんで作った短い麺を入れて冷やしたデザートです。シロップにローズウォーターが使われていますが、イランでは中部のカーシャーン地方で採れるバラが有名なこともあり、観賞用としてだけでなく、このようなローズウォーターに加工したり、花びらを食用にしたりすることが一般的です。
ファルデはイラン全土で親しまれているスイーツですが、その発祥は南部のシラーズです。
シラーズは、紀元前700年頃に栄えたアケメネス朝ペルシア帝国の中心地「ペルセポリス遺跡」がある町として知られており、イランを代表する詩人「ハーフェズ」や「サーディ」の出身地でそのお墓もあることから、「バラと詩人の町」とも呼ばれています。
シラーズがある場所は標高約1,600mと比較的過ごしやすのですが、それでも夏の平均気温は30度を超えます。そんな暑い時期の強い味方がシラーズ版のファルデ、「ファルデ・シィラズィ」です。
私もシラーズっ子に大人気のアイスクリームショップで、ファルデ・シィラズィを食べてみました。
麺はプレーン、サフラン、レモン、サワーチェリーから選べるのですが、王道はレモン味の麺にさらにレモンソースをかけたもの。イランの方は酸味がある食べ物が大好きなのでイラン料理は全般的に酸っぱいのですが、それがスイーツにも影響しているところが面白い! 食べてみると、ツルツルと滑らかに見えた麺は意外としっかり歯応えがあり、口の中でゆっくりと溶けていきます。程よい甘さが暑い夏にもってこいの冷菓でした。