- スーパーやコンビニなどで手軽に購入できます
- こちらはバニラ生地にキャラメルクリーム入り
「ゼフィール」
春風を運ぶお菓子生クリームを焼いたもの......? それとも、メレンゲのお菓子?
色々と想像がふくらんでしまう、特徴的な見た目の「ゼフィール」というお菓子。ウクライナだけでなく、バルト三国やロシアなどの旧ソ連国でも親しまれています。
「ゼフィール」の語源は、ギリシャ神話のゼピュロスです。ゼピュロスは、ボッティチェリの大作『ヴィーナスの誕生』や『プリマベーラ』にも登場する神で、ギリシャでは春を運んでくるとされている「西風」という意味を持っています。この語源を知ると、なんとなくゼフィールの形が柔らかい春風のように見えてきます。
初めてこのお菓子に出会ったのは、ウクライナ南部ザポリージャ州のとある村の小さな食料品店でした。肉、魚、お酒、野菜、冷凍食品などなんでもそろうこちらのお店のショーケースの上に、ドンッと置かれていたのがゼフィール。大人の握りこぶしほどの大きさでとてもインパクトがあり、すぐに目につきました。
メレンゲクッキーに似ているので、パリパリしていてかじるとパキンと割れそう......という印象を受けたのですが、実際は砂糖でコーティングされた弾力のあるマシュマロのよう。この食感は、チョコレートでコーティングされたドイツのお菓子「ショコクス」にも似ていると言われています。
ゼフィールのレシピはそれほど複雑ではないので、家庭でも気軽に作ることができます。
フルーツに砂糖を加えて煮詰めたものを裏ごし、卵白を加えてミキサーにかけ、しっかりと泡立てます。そこに温めた寒天と砂糖を加えてさらに混ぜ、クリームを絞るようにして形を作り、半日ほど置いて乾かします。同じ大きさのものをくっつけ、仕上げに粉砂糖を振りかけたら完成です。
使用されるフルーツはアップル、ストロベリー、ブルーベリーなどさまざまで、それぞれの味と色合いの違いを楽しめます。また、チョコレートでコーティングしたバージョンもあるのですが、こちらはチョコレートの甘さがフルーツの素朴な味を引き立てていて、ちょっと上品な味でした。そのほかにバニラ生地でキャラメルクリームをサンドしたような、フルーツを使用しないレシピもありました。このバリエーションの多さも、ゼフィールの魅力の1つかもしれませんね。